歯周病とは
歯周病とは、歯を支える歯ぐきや歯槽骨などの組織に炎症が起きる病気のことです。むし歯とは異なり重症化しなければ痛みが現れません。進行すると歯が揺れるようになったり、出血がひどくなったりするため、重度になってようやく気づく方も多くいらっしゃいます。
最終的には歯が抜けてしまい、食生活や社会生活にも悪影響を与えます。日本では、55〜64歳で歯周病の有病率が高く、60歳代では14本以上の歯が失われている人も少なくありません。むし歯だけではなく、歯周病にも注意して日々のケアを行うことが大切です。
なぜ歯周病になってしまうのか
歯周病の原因は、歯垢や歯石に含まれる細菌です。特定の細菌が砂糖を利用して多糖類をつくり、それが歯面について、他の細菌を引きつけて歯垢を形成します。歯垢1mg中に約1億個以上の細菌が存在しており、毒素を出して歯ぐきや歯槽骨に炎症を引き起こします。
そのほか、全身の病気や歯並びの問題、歯ブラシの使い方、補綴物やブリッジの不具合、ストレス、歯ぎしりなども歯周病の要因です。
歯周病の進行度合いについて
歯茎の腫れや歯の揺れは、歯周病が重度になってから現れる場合もあるため、一見症状がなくても油断はできません。歯周病は、ギネスブックで「世界で最も罹患者の多い病気」の1つに認定されており、日本の成人の約80%が罹患しているといわれています。歯周病ではないと思っていても重度にまで進行しているケースもあるため、一度検診を受けることをおすすめします。
当院の歯周病治療
ブラッシング指導
歯周病の改善・予防には、原因であるプラーク(歯垢)を完全に取り除くことが重要です。当院では、磨き残しの個所を染め出しによって確認し、わかりやすく説明しながら歯ブラシの種類から磨き方、補助的清掃用具(フロス、歯間ブラシなど)の使い方まで、一人ひとりに合ったブラッシング方法をアドバイスしています。
スケーリング・ルートプレーニング
スケーリング・ルートプレーニングとは、専用の器具で歯石を除去する処置のことです。歯の見える位置に付着した歯垢・歯石だけではなく、歯茎の中に付着した歯垢・歯石も除去します。
歯石を取り除いた歯面を磨きあげて凹凸のない状態に整え、歯石の再付着を防止します。痛みを伴う場合は局所麻酔をしますのでご安心ください。
歯周外科治療
中程度~重度の歯周病で、スケーリング・ルートプレーニングだけでは改善しない場合には、歯周外科治療を行うことがあります。その中の1つのフラップ手術は、歯肉を切開し、歯根を直接目で確認しながら歯垢・歯石を取り除く処置です。必要に応じて、歯肉移植や骨移植、歯周組織再生療法などを行います。
短期集中歯周治療も行っています
短期集中歯周病治療(Full Mouth Disinfection:フルマウス ディスインフェクション)とは、全ての歯に対する歯周病治療を1回で行うことで、口腔内全体の歯周病菌を除去し、再感染リスクを最小限に抑える方法です。歯周病は感染症のため、徐々に治療を進めると、未処置のブロックに歯周病菌が残ってしまい、再感染の可能性が高まります。
短期集中歯周病治療は、このようなリスクを回避するためにも効果的な治療法です。